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「■ 刀剣乱舞 長編」
▼ 【燭一】吸血鬼パロ

【燭一】螺旋と輪廻の序曲(オーバーチュア)

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日中でも薄暗い、廃墟の教会の中。
その中で佇んでいる吸血鬼の青年。
青年は毎日ここに訪れるのが日課になっていた。
青年は祭壇の上にある十字架を見上げている。
と、シャランと鈴の音がして足元に黒猫が近寄って来た。
猫は、吸血鬼の青年……燭台切を見上げている。

猫は実は魔族であり、燭台切のパートナーである。
名を堀川国広。
以前は別の相棒の下で過ごしていたのだが、その相棒がいなくなり燭台切に助けられた。
それから、長い間彼と共に過ごしてきた。
その間に、色々な事があった。
堀川には、燭台切の心を蝕んでいるものの正体は分かっていた。
だけど、それを解き放つ術を知らなかった。
自分を助けてくれた恩人だからこそ、今度は自分が助けてあげたい。
堀川はそんな燭台切を見て、何かを考えたように思うと教会を出て行った。

『よう、光忠』

堀川が出て行った後、燭台切に話しかけてきた白い衣服を身に纏った銀髪の青年が姿を現す。

『国永殿か』
『堀川がさっき出て行ってたぞ』
『うん、知ってるよ』
『……会ったんだろ?【アイツ】に』
『……』
『……嬉しくないのか?』
『……嬉しくないと言えば嘘になるよ。……でも、もう……』

燭台切は目を伏せる。
首にかかったクロスとロケットのペンダントが風に揺れる。

『……もう、あの子を巻き込みたくないんだ』
『……出会っちまったんなら、もう巻き込んだようなモンだろ』

燭台切は鶴丸を見る。
鶴丸は魔族の中でも高位の悪魔にあたる。
燭台切とは古い中で、友人といえる関係である。

『もう、お前も十分過ぎる程苦しんだだろう。お前はそろそろ自分を優先させてもいいと思うぞ』
『……』
『無理にとは言わねぇが、老婆心だ。お前はもっと自分に素直になれ』
『……善処してみるよ』
『やれやれ。お前は本当に損な奴だな』

ようやく僅かではあるが笑ってくれた燭台切に、鶴丸はばん、と肩を叩いた。



■■■


先日の吸血鬼の報告を終え、一期は自宅でゆっくりしていた。
庭先で、弟達が楽しそうに遊んでいるのを眺める。
吸血鬼の退治報告では無く、経過報告だったので報告を受けた司教は不可解な顔をしていたが。
結果、やはり野放しにしておくのは危険だという事で経過を監視しつつ、タイミングを見て浄化するようにと連絡を受けた。

「……」

どうしてだろうか、あの吸血鬼の顔が脳裏から離れない。
あの、悲しそうな金色の瞳。
と、そんな時一期の足元に赤いリボンを首に巻いた黒猫が近寄ってくる。
その猫は一期を呼ぶように「にゃあ」と鳴いた。

「どうしたの?迷子かな?」
「にぃ」

ちちち、と音を鳴らすと猫は一期の足元に近寄り頭を擦り寄せてくる。
随分と人懐っこい猫に、思わず笑みが洩れる。
頭を優しく撫でるが、猫が逃げ出す様子は無かった。

「首にリボンしてるけど……。誰かの飼い猫かな?」
「にゃー」

一期が猫を抱き上げると、嬉しそうに鳴いている。

「あれ、いち兄……。その猫どうしたの?」
「捨て猫……じゃないな、それ」

弟達が気になったのか近寄ってくる。
座っている一期の膝の上で心地良さそうに丸まっている猫に視線が注がれていた。

「リボンをしているし、どこかの飼い猫なんだろうとは思うんだが……」
「でも、凄く可愛いねその猫」

猫はちらり、と一期の首元を見る。
普段着の為少し首元が開いている。
そこにあるのは、クロスとロケットのペンダント。
それを見て猫は目を細めると、それを咥え一気に跳躍する。
ぶつり、とペンダントのチェーンが切れた。

「あっ……!!」
「いち兄のネックレスが……!!」

猫はペンダントを咥えたまま、外へ駆け出す。
一期は慌ててそれを追う。

「お前達はいつも通りにしていて。取り戻したら戻ってくるから薬研、夕食の用意は任せたよ」
「ああ、分かった」

一期は弟達にそう伝えると、家を出る。
一期と弟達は、実は血が繋がっていない。
一期は元々とある貴族に養子に迎えられた子で、そこから神父の道へと進んだ。
神父の修行の際に世話になった老齢の神父が亡くなった後、彼が引き取っていた子供達を一期が引き取った。
子供達は一期にすぐ懐き、「いち兄」と本当の兄のように慕ってくれた。
一期は走りながら回りをきょろきょろと見渡す。
視界の中に、猫はいた。
猫はちらりちらりと、時折立ち止まりこちらを伺うように逃げている。
それが、まるで一期を誘導しているようで。
それに気付かない一期は、気付いたら自分が暮らしている街の中でも少し外れた所まで来ていた事に気付く。
と、猫がそこにあった廃家に入り込む。
一期はそれを追った。
一期が廃家に入り込むと、少し開けた所で猫が止まって一期を見ていた。

「お願いだから、それを返して貰えないかな。それは、親から貰った唯一残ってる形見だから」
『このペンダントの事は、何も知らないの?』
「……え?」

突如頭の中に響いてきた声。
少し高めの、柔らかい声。
一期はその声の主が目の前の猫であるとすぐに察した。

「魔族……?」
『こっちの質問に答えて』
「……知らない」

今、猫が咥えているネックレス。
それは唯一、一期が両親から貰ったものだ。
ロケットの中の写真はとても古いもので損傷が激しく見えない。
だけど、一期の家では古くから伝わるものらしい。
そのペンダントが何か、を両親に聞く前に両親は逝ってしまったから。

『……思い出して、あの人の事。あの人はずっと、貴方を探してた。貴方をずっと……ずっと、待ってた』
「魔族の言葉を聞く道理は……」
『思い出して。燭台切光忠の事を……』
「……ッ」

その名は聞いたことが無い筈。
なのにどうして、こんなに心が揺さぶられるのか。
一期の脳裏に浮かぶのは、映画のコマ割のような断片的な場面。

炎と、教会、そして。
柔らかい笑みで微笑む、あの、吸血鬼。

一期は顔色を悪くし、口を手で覆う。
凄く、気持ちが悪い。
その嘔吐感にしゃがみ込んだ一期の前に立つ気配。
一期が顔を上げると、蒼碧の大きな瞳に黒髪、そして赤いリボンタイをした小奇麗な顔の青年が立っていた。

「……!」
『大丈夫、貴方は殺さない。僕の主の大切な人だから。……ただ、僕は貴方に思い出して欲しいだけ』
「何、を……」
『貴方が愛した人を。その、ペンダントの意味を思い出して欲しいだけ』
「………、」
『これ以上、燭台切さんの悲しい顔は見たくないから。……お願い、一期さん』
「!?どうして、私の名を……!」
『お願い、思い出して……』

願うように堀川は囁き、そっと地面にペンダントを置く。
動けない一期を悲しそうに堀川は見つめ、隠れるように消えてしまった。
震える手を伸ばし、一期はペンダントを手に取る。
自分は、一体何者なのか。
あの、吸血鬼と自分は、一体何があったのか。
……何の関係があるのか。
一期は震える身体を叱咤しつつ立ち上がる。
もう、さっきの情景は浮かんでこない。
……あの吸血鬼なら、この答えを知っているのだろうか。
一期は痛む頭と吐き気を抑えつつ、家へと戻ることにした。



■■■■



「…」

一期が見上げた先は、あの吸血鬼と出会った教会。
森は静かで、穏やかな風が流れている。
まだ日は出ていて、遠くからは小鳥の囀る鳴き声も聞こえる。
あの吸血鬼がいるかどうかは分からない。
だけど、会って聞きたいことがあった。
一期は警戒しつつも、ゆっくり教会の中に足を踏み入れる。
あの吸血鬼の気配は感じない。
奥に視線を向けると、蹲る人影を見つけた。
近寄ると、燭台切が蹲り苦しそうに呼吸をしていた。

『……っ……?!何故、来たんだ……!』

一期の姿を見た燭台切は一瞬身構えるが、苦しそうに呻くと蹲る。
一期は思わず近寄り、燭台切に触れた。
攻撃する様子には見えないので、一期は警戒を解く。
苦しそうに呼吸を繰り返す燭台切を見て、一期はその形の良い眉を寄せた。
神父……、祓魔師である一期は、薄らと燭台切が弱っている原因を悟っていた。

「(……まさか、血を飲んでないのか……?)」

以前感じた魔力より、圧倒的に今は弱まっているから、恐らく間違い無い筈だ。
だが、どうして血を飲んでいないのか。
人間である自分を見ても吸血しようとする気配は無かった。
彼を祓うなら今がチャンスかもしれない。
だが、自分を追いつめてまで吸血をしない彼に一期は興味を持った。
それに、彼は自分の事を知っているかもしれない。
と、そんな時燭台切は一期の腰に腕を回し、近くにあった祭壇に押し倒した。

「ッ……!?」

驚いたように目を見開く一期。
一期の首のシャツのボタンを開くと、その白い首にかかっていたのは燭台切の持っているものと同じペンダント。
ペンダントに視線を感じたのか、燭台切を見上げている一期。
だが、燭台切の首から下がるペンダントを見て動きが止まる。

「その、ペンダント、は……」
『……』
「貴方は、一体……、ンっ……!?」

一期の言葉を塞ぐように、燭台切は自分の唇を重ねる。
強引に口を割り、口内に入り込んできた舌に一期はビクリと反応した。

『ぁ、んん……、ふぁ……』

何故か、一期は抵抗する気にはならなかった。
キスが、気持ちよくて。とろとろと脳が溶けるような感覚。
呼吸の合間から漏れる、一期の艶のある声に燭台切は更に口付けを深めた。
薄く開いていた唇の隙間から何度も舌を滑り込ませ、舌を、唾液を絡ませるキスを繰り返す。
舌を絡ませるキスを繰り返し、燭台切がゆっくり離れると銀糸が互いの口に繋がった。
呼吸が苦しいのか、荒い呼吸を繰り返す一期を見下ろす燭台切。
幾分か体力が回復したようで、いつの間にか立場は逆転してしまっていた。

「貴方の、その……ペンダント、は……」
『……もう、来るなと言った筈だよね、一期くん』
「ッ……どうして、私の名を……」
『君は、約束を破った。……その罰は受けてもらう』

燭台切の言葉に、一期は背筋を震わせる。
目の前の吸血鬼は、弱っているにも関わらず自分よりも強い。
自分は狩る側だと思っていたが、今は違う。
自分は、狩られる側なのだと。
燭台切は何かを唱えると一期の目を塞ぐ。
急激に視界が暗くなり、意識が混濁して行く。
脳裏に浮かんだのは、大切な弟達。

そして。

一瞬だけよぎった、男と。
それは……。

「(光忠さん……)」

目の前の吸血鬼と同じ男と、彼に寄り添う自分だった。




少しずつ、バラバラだったパズルのピースがそろってゆく。
だが、完成する事が幸せな事なのかは分からない。
輪廻が、螺旋となって動き始める。
それは、旋律の序曲(オーバーチュア)。



* 続 *




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