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▼ 【燭一】吸血鬼パロ

【燭一】月夜の序奏(イントロダクション)

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初めて出会ったのは、真っ赤な満月の日。
驚くほど綺麗な紅蓮の満月の下で出会った、隻眼の美しい吸血鬼。
その美しい吸血鬼の名は、どこか懐かしい響きを持っていた。



とある、曰く付きの森。
その森が曰く付きと呼ばれるのには訳がある。
その森は日が昇っていても常に薄暗く、一度入り込んだら最期、生きて帰る事が出来ないといわれる呪われた迷いの森。
その森に呪いをかけているとされるのが、森に住んでいる吸血鬼。
森に迷い込めば最期、死ぬまで出られぬとされる森に誰も近寄ろうとはせず。
だが、人間というものは分からないモノに対して恐怖心を抱く生き物。
なんとかしてその吸血鬼を祓えないかと考えた。
吸血鬼と戦う事が出来る祓魔師(エクソシスト)。
彼らは神に仕え、その神聖なる力と与えられた武器で魔族と戦う者なのだ。

今その森へ足を踏み入れている青年は、心霊現象や人の手に負えない不可解な事件、そして魔族を祓う事を大聖堂(カテドラル)から任務を受け処理している凄腕の祓魔師である。
青年の名は一期一振。浅黄色の美しい髪、美しく整った容姿、華奢な白磁の肌。
青いコートを羽織った一期は神経を集中させながら、森の中をゆっくり進む。
コツコツ、と革靴の音が静かな森の中で不気味に響いた。

今回、一期は満月の夜にとある場所に現れるという吸血鬼を退治する依頼を受けた。
普段なら掴める筈の痕跡も掴めなかったので、相手は相当ランクの高い吸血鬼のようだ。
あまりにも情報量が少なく、困り果てていた一期が訪れたとある村で有力な情報が手に入った。

【村の近くにある森の中の廃れた教会に、赤い満月の夜、吸血鬼は現れる】
【吸血鬼の苦手とされる銀や聖水、十字架や大蒜、挙句は日光が一切効かない化け物】
【その吸血鬼は赤い満月の時にしか出現せず、自分から襲い掛かる事は無い】

いくつか不可解な情報はあったが、出現する場所も確認出来た。
しかし、謎が多い吸血鬼だと一期は思った。
被害に会った人間は自分から危害を加えようとした者か、警告を無視して近寄った人ばかりだと言う。
謎ばかり残るが、吸血鬼を祓えば全て終わる事だ。
そして、赤い満月の夜。
一期が空を見上げると、真っ赤な満月が光輝いていた。

「赤い満月とは不気味だな……」

ぽつり、と一期は呟く。
元より満月は力が不安定になりやすい時期であり、それは西洋でも東洋でも同じとされる。
更に今夜は赤い満月。
何が起こっても不思議ではないだろう。
一期は目を閉じて風の声を聞いていた。
空気の流れが、先程とは少し変わった。
この先に、目的地があるのだろう。

「(吸血鬼が教会に出るなんて、ある意味凄い話だ……)」

奥に進んで行く内に、教会が見えてきた。
所々が傷んだ、荒廃した教会。
廃墟となっていても、その神聖さは失われていなかった。

「ここか……」

いかにも、という感じな場所だが、そんなに禍々しい気配も残り香も無い。
吸血鬼は魔族の中でも高位に位置する者である。
だが一期も、祓魔師の中では高ランクに位置しているので吸血鬼とも過去戦い、何度も浄化している。
けれど、今回はいつもと違った。
いつもなら、何かしら感じ取れるはずなのに今は何も感じ取れていない。
それは、最悪の場合一期よりも相手の吸血鬼の能力が高く、強い事を意味する。
一期が教会に足を踏み込もうとした瞬間、一期の頭に声が響いた。

『来ないで……』
「!?」

一期は身構える。
ザアアア、と強い風が吹いた。
一期は声の主を探るが、気配すら感じない。
恐らく、今の声の主が探している吸血鬼だろう。

『……来なければ危害は加えない……。立ち去るんだ……』
「……私は、吸血鬼を探している」
『……』
「付近の住人の被害も出ている。覚えがあるだろう」
『……』

一期の言葉に、声の主は少しの間黙り込む。
1秒が長く感じられる沈黙の中、声の主から返答があった。

『……分かった。教会の中へ来て』

静かに告げられた後、また沈黙が辺りを支配する。
一期は周りを見渡すが、やはり気配は無かった。

「今の声が……吸血鬼……?……綺麗な、声……」

どこか、懐かしく、心を揺さぶられる声だった。
一期は警戒を解く事無く、教会の中へ入る。
外見はかなり荒廃していたにも関わらず、内部はそこまで損傷していない。
教会そのものの神聖さを、未だに保ったままだった。
と、一期は祭壇に立つ人影を見つける。
こちらに背を向けているが、闇夜をそのまま写したような漆黒のマントに同じような艶やかな黒髪。
感じる気配は人のそれではない。
その人物は一期の気配を感じ取ったらしく、ゆっくりと振り返る。
その姿を見て、一期は息を呑んだ。

月明かりを浴びて浮かび上がる白い肌に、黒曜石のような艶やかな黒髪。
伏せ目がちの目は、黄金色で闇夜に浮かび上がるようで。
黒い髪に隠された、眼帯。一期を美しい金色の瞳をした隻眼の吸血鬼が見つめている。
赤い月明かりが、美しくも妖艶にその人物を照らしていた。

『……武器を仕舞ってくれないかな……。ここを……、血で汚したくないんだ』

静かで温和な声だがどことなく悲しさを感じさせる声に、一期はその形のよい眉を寄せる。

「……戦う意思は無い、と?」
『……君が戦う意思を見せなければ、こちらから仕掛けるつもりは無いよ』
「信じられません」
『……さっきも言ったよね、ここを血で汚したくないって。何度も言うけどこちらから仕掛けるつもりはないよ。無駄に戦って互いに傷つくよりは、話し合いで解決する方が平和的だと思うよ』

言葉は温和だが、金色の瞳が一期を冷たく見据える。
だが彼の言う事は正論でもあるし、何より実力は未知数だった。
下手に刺激するよりは、素直に従ったほうがいいのかもしれない。
一期はそう判断し、持っていた細身の剣(レイピア)を鞘に収める。
それを確認した吸血鬼と思われる青年は、少しだけ警戒の色を解いた。

『……君も僕を殺しに来たのかい?』
「……」
『その態度は肯定と受け取っていいのかな?僕は、君達人間には迷惑となるような事をしたつもりは無いよ。僕はここにいるだけだから』

襲い掛かってきた者に対しては、自己防衛の為に相手をしてしまったけれど。
静かな声で話す吸血鬼の青年の話を一期は黙って聞いていた。

『……だから、ここに近寄らなければ……誰も被害には合わないでしょ?』
「…………。そうですね。それでは付近の住民にはそう伝えておきましょう」

一期は静かに目を閉じる。
どうしてだろう、何故か目の前の吸血鬼は信用できると思うのだ。
敵対する魔族を信用する事は、祓魔師の一期にとっては甚だおかしい話なのだが。

「貴方のような吸血鬼は……初めてです」
『……僕も、君のような祓魔師(エクソシスト)は初めて見たよ』

黒衣の青年は目を伏せる。

『他の地域の人々にも伝えて欲しい。ここの教会には近寄らないように、と。近寄らなければ僕は危害を加える気は毛頭無いからね』
「わかりました……」

一期はそれに対し了承する。
一期が大聖堂にその事を伝えれば、これ以上被害が増える事は無いだろう。

『……話は以上かな。お引取り願うよ。……もう、話す事は無いから』

と、黒衣の青年……燭台切は一期に背を向けそう告げる。
その全てを拒絶する背中に、一期は何故か胸が痛んだ。

『もう、僕に構わないで欲しい。……もう、ここには来ないでくれ』

互いに狩る、狩られる関係なのだから馴れ合う必要等はない。
だが、どうしても一期は燭台切の悲しみに満ちた瞳が忘れられなかった。


一期が教会から出て行った後、燭台切の足元に黒い猫が擦り寄ってくる。
燭台切がその猫をそっと撫でてやると、猫は嬉しそうに「にゃあ」と鳴いた。
そして、猫がくるりと一回転すると猫はヒトへと姿を変える。
黒髪で、耳に赤いピアスをした愛らしい顔をした青年。
瞳は青のような緑色。そして首元には赤いリボンタイが結ばれていた。
青年は首に巻かれた赤いリボンをそっと撫でて、燭台切に寄り添った。

『燭台切さん……』
『堀川くん……』
『さっきの、あのヒトは……まさか……』
『……違うよ、堀川くん』

ふわりと舞った風に、燭台切の首にかけられたクロスネックレスとロケットペンダントが揺れる。

『……でも、僕は信じたいです。あのヒトだって』
『……』
『あのヒトが、燭台切さんの運命の人だって』

寄り添ってくる堀川の髪を撫でてやりながら、燭台切は赤い満月を見上げる。
脳裏をよぎったのは、遠い、遠い昔の約束。


(――……光忠さん!)


遥か遠い昔に、自分に微笑んでくれた大切な人。

『(一期くん……)』

自分の生きる意味は、彼との約束。
永劫の時が流れても、その約束だけは…色褪せないままで。




* 続 *





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