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「■ 刀剣乱舞 短編」
▼ 燭一

【燭一】風邪の特効薬

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ああ、見なければ良かった。
燭台切は審神者の青年が各々にと渡してくれた手元の体温計を見て天を仰いだ。
最近何か調子が悪いな、とは思っていたのだが。
視界は揺らぐし、気だるい気もしていたから風邪なのかもしれないとは思っていた。
世界が回っているのではなくて自分の視界、つまりは頭が回っているのにようやく気付いたのは、計った体温計の数値が論外な数値だったからだ。
39.6度。

「(見なきゃ良かった……。最悪だ)」

病は気から、とはよく言ったものだと思う。
熱を計る前は『調子が悪い気がする』と思っていただけだったのに、熱があると認識した途端一気に具合が悪くなった気がする。
頭は痛むし、視界が回っている。
誰よりも健康管理に気を遣っていた筈なのに、何て様だろう。
人の姿は便利だけど不便だな、と燭台切は思う。
とりあえず、審神者の青年が念の為、と置いてくれている薬を所定の位置から取り出そうと、ふらつく身体を引き摺りながら薬が置かれている棚へ向かう。

「あ、でも空腹に薬は駄目だって言ってたな……」

主の審神者が書いてくれた薬の用法と用量を確認する。
やはり空腹時は避け、食後に摂取するように書かれていた。
薬の効果を最大限に引き出すには、やはり何かしら腹の中に入れたほうがいいだろうか。
でも、食事の時間は既に過ぎている。
それなら無駄に体力は使わず横になっておいた方がいいだろう。

「(こういう時、どうしてかな。一期くんに会いたい……)」

こういう時は、誰かに居て欲しいと思う。
病気の時はどうしても人寂しくなるもの。

「(一期くんに、会いたいな)」

恋人である彼を思う。
でも彼は粟田口の長男で、同じ一軍で、なおかつ主の近侍で副隊長。
風邪をうつしてしまう訳にはいかない。
だが、皮肉な事に弱った時に会いたいと思う人は一期しかいなくて。
でも、彼に弱った姿を見せたく無い、自分のせいで心配はかけたくない。
そういう本音と相反したジレンマを燭台切は感じていた。

39度も熱があるのにここまで考えられるという事は、まだ自分は大丈夫。
なんとか、布団を敷いて横になる事なら出来るかもしれない。
ふらつく足取りで布団に触れる。
あとは、布団を出して、敷いて、それから……。

それから、の後は飛んでしまった意識のせいで何も考えられなかった。



■■■



額に冷たい感触を感じ、燭台切は緩やかに覚醒する。
額に手を当てれば、濡れた冷たい手拭いが乗せられていた。
そして、身体にかかる暖かい毛布。
燭台切は畳の上で横になっていた。

「……あれ、僕……布団棚の前にいた筈じゃ……」

重く響く頭痛に眉を顰めながらゆっくりと起き上がる。
起き上がる気配を感じたのか、近くにいた人物は燭台切に近づいた。

「あ、光忠さん……、起き上がったらまだダメです。熱があるんですよ」
「一期くん……?」

起き上がろうとする燭台切を、一期は近寄り制止させる。

「横になっていて下さい」
「でも、どうして……」
「今日の仕事が予定より早く終わったので。燭台切さんの姿が見えなくてどうしてるかなって思って寄ったんです……。そうしたら、部屋の奥で倒れてて……驚きました」

慌てて布団を敷いて運ぼうとしたけど、私ではそこまでしか運べなかったんです。すみません。
一期は、困ったように笑う。
そっと髪を撫でてくれる細い指先。
うつすかもしれない、弱った姿を見せたく無いという思いよりも会えた事の方が気持ちを上回っていた。

「一期くん」
「待ってて下さいね、粥がそろそろ出来ますから。それから、薬を飲んで安静にするんですよ」

優しく髪を撫でられる。
その仕草に、労わりと愛情を感じ素直に頷いた。
するり、と指先が髪を滑り離れていく。
その感覚に、物凄く寂しさを感じた。

「……大丈夫ですよ、そんな顔しないで。厨に行くだけですから」

ちゅ、と額に口付けをされる。
労わるような口付けに、安堵する。
それを確認した一期は台所へ消えた。

静かになる部屋。
先程までは心細さが勝っていたが、一番会いたかった人物に会えた事でそれは随分和らいでいた。
現金な自分に失笑するしかない。

「光忠さん」

自分を呼ぶ柔らかい声に視線を向けると、小振りな土鍋を持って一期が歩み寄ってくる。
額にあてられる冷たい感触に、思わず目を瞑ってしまった。

「まだ熱いですね……。熱、計りましたか?」
「あ、うん……。39.6度だったかな」
「え!?凄い高熱じゃないですか……!明日の進軍は止めておくように主様に伝えておきます」
「いや、僕一人のせいで延期に出来ないよ」
「貴方が倒れたら意味が無いです」
「……嫌だ。絶対に、出るから」
「……」

頑なに引こうとしない燭台切に一期は溜息を吐いた。
面倒見が良くて世話焼きな恋人は、変に頑固な面がある。
いつもなら許してやる所なのだが、今回は状況が状況だ。

「もし、体調が不完全なままで出て、光忠さんに何かあったら私が耐えられません」
「一期くん……」
「お願いです、光忠さん。……ご自分を大事にされて下さい。貴方の身体は……貴方だけのものではないのですから」
「え、一期……くん……?」
「私は、光忠さんの……[[rb:番 > つがい]]、ですから」
「一期くん……」

まさか一期の口からそのような言葉が出るとは思わず、燭台切は一期をじっと見つめる。
そして、自分を心配してくれる一期の気持ちを痛いほど感じ、燭代切は折れた。
可愛くて大事な恋人に、このような事を言われたら折れるしかない。
燭台切が折れてくれた事に安堵しつつ一期は粥の器を置き、食べやすいように茶碗に少し移す。
そして茶碗を差し出そうとしたら、燭台切は一期をじっと見つめていた。

「な、何でしょう」
「食べさせてくれないかな?手に力が入らなくてね」
「……光忠さんは弟たちよりも甘えたですね」
「風邪引いてる病人だから、それくらいしてくれてもいいよね?」
「ふふ、分かりました」

一期はレンゲで粥を掬うとふぅふぅと息を吹きかける。
ある程度冷めたのを見て、そっと燭台切の口に差し出した。

「美味しい」
「ふふ、軽く卵を混ぜて塩も控えめにしたんです。どうかなと思ったんですけど良かった……」

一期は嬉しそうに笑う。
食べやすい口当たりと味に、高熱にも関わらずほぼ食べ切る事が出来た。
そして、審神者の青年が処方してくれた薬を服用する。
倒れた時よりも幾分楽になった事に安堵する。
このままいけば、熱も一気に引いてくれそうな気がする。

「ねぇ一期くん、今日は自分の部屋で休むんだよ」
「え、……嫌です。こんな状態の光忠さんを置いてはおけません」
「単なる風邪だから、そんなに気にしなくてもいいよ」
「……私が光忠さんと一緒にいたいんです。……駄目ですか?」

そう言われたら、燭台切は頷くしかない。
うつす可能性はある事を一期は理解している筈だ。
それでも自分の傍にいたいと言ってくれる一期が、とても愛しかった。

「ありがとうございます、光忠さん」

一期は優しく笑って髪を撫でてくれる。
その感触も心地よかったが、もっと彼の温もりが欲しかった。
彼の細い腕を掴んで引き寄せる。
自分よりもずっと軽い彼は、その勢いに負け燭台切の上に跨るような体勢になった。

「一緒に、寝ようか」
「うつす、かもしれないと言ってたじゃないですか……」
「大丈夫だよ、もし一期くんにうつったら僕がつきっきりで看病してあげるから」
「まったく、もう……。とりあえず、先に布団で横になって下さいよ?」

自分の我侭を笑って受け入れてくれる、彼。
彼の温もりが、とても心地良くて。
薬が効き始めたのか、次第に睡魔が襲ってくる。

「……光忠さん、眠いですか?」

一緒に布団に横になった一期が、燭台切を見ながら言う。

「うん……」
「早く、元気になって下さいね。貴方が元気になってくれないと……口付けが、できませんから」
「……!ふふ、うん。分かったよ、早く治すね」
「はい。……さあ、お休みになって下さい。ずっと、一緒にいますから」

その言葉に、本当に心から安心した自分がいた。
髪を撫でてくれる心地良さに、次第に睡魔からか意識が薄れていく。
意識が無くなる直前に、感じたのは唇への優しい口付けだった。



* 終 *





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